大津市河川愛護団体連合会所属


琵琶湖の病気 水草の問題

琵琶湖の2つめの病気は水草です。

なぜ、近年、琵琶湖で水草が多くなってきたのかは、様々な要因があると言われていますが、水草は放置すると湖岸に打ち上げられ、腐敗し、異臭を放ち、コバエがももうと湧き上がります。
夏場は、網戸をあけられないくらい、コバエが発生してしまいます。
そんな迷惑な水草ですが、私たちは、「水草はなくなってしまえばいい」「全部取り除いてやろう」などと思ってはいません。
水草は、成長過程で大量の二酸化炭素を吸収し、水質をきれいにする性質を持っています。
また、水草は魚やエビ類の産卵場所にもなっているからです。

当団体では、湖岸に打ち上げられた水草のみを回収しています。それだけでも追いつかないほど、たくさんの水草が湖岸に打ち上げられます。
打ち上げられた水草は、放置すると腐敗し、波にさらわれてまた湖に溶け、二酸化炭素を排出して、もとの状態に戻ってしまいます。
そうなる前に、当団体では水草を乾燥させた後に、乗用草刈機で裁断し、河川敷の荒地に散布浸透することで緑地化を実施しています。(滋賀県から活動許可を頂いた範囲でのみ実施)

相変わらず、琵琶湖の南湖は、どういうわけか、夏場、水草で埋め尽くされます。
鳥は、泳ぐのではなく、もう水草の上を歩いています。
間違い無く、琵琶湖は、なんらかの悲鳴を上げています。
川にも水草が逆流し、あたり一面を覆っていることもあります。

これは、ホテイアオイという種類の水草です。
人間が観賞用に持ち込んだ外来の水草です。
青い色のかわいらしい花を咲かせますが、その繁殖力はすざまじく、別名「青い悪魔」とも呼ばれています。

もうこれは、明らかにおかしいと言わざるをえない状況の写真だと思われませんでしょうか。
湖から逆流した水草のエキスで、まるで川が抹茶のようになってしまっています。
これは、「スカム」と呼ばれる水草の状態です。水草がスポンジのように変化してしまっています。

そしてこれが、水草の行き着く最悪の状態、「アオコ」です。(自宅前で撮影)
アオコは強い毒性を持っています。こうなると水草の回収さえできなくなります。当然、魚はもう生きて行くことができません。アオコの原因はさまざまな説が唱えられていますが、特にゴルフ場の農薬など、富栄養化が原因ではないかと言われています。
くどいようですが、ここを水源とするお水を、私達は毎日飲んでいます。

護岸工事された湖岸に、ごみ、水草、ホテイアオイがぎゅうぎゅう詰めになっている状態の写真です。
ここから先は船では進めません。ゴミを回収にいくことすら困難です。



当団体は、子供達が、元気に湖水浴が出来る環境を望んでいます。

昔は、どこでも子供達が湖で泳いでいたと聞いていますが、近年、そのような光景は珍しくなりました。
でも、もういちど、がんばってみませんか。がんばれば、水辺の環境は改善します。

今、間違いなく、琵琶湖は悲鳴をあげています。その悲鳴の原因は、間違い無く人間だと私達は感じています。
人間の社会活動による影響が、琵琶湖という閉鎖的な環境空間に映し出されていると感じています。

水草の問題は、ごみの問題よりもはるかに大きな問題です。
一人一人ががんばってもなかなか解決には向かわない問題かもしれません。
しかし、できるところからはじめてみませんか。あたりまえの事ですが節水をこころがけて、生活排水に気を配ることで、状況は少しでも改善するかもしれません。

(琵琶湖の病気 外来魚の問題へ続く)