大津市河川愛護団体連合会所属


琵琶湖の病気 外来魚の問題

琵琶湖の三つめの病気は外来魚の問題です。

御存知の通り、残念ながら琵琶湖はもはやブルーギルとブラックバスに占領されてしまいました。
北湖はブラックバスに、南湖はブルーギルに占領されています。
これは断言できる状況です。
完全なる生態系の破壊が起こってしまいました。
もちろん原因は人間です。
外来魚は海を泳いで日本には来ません。

行政でもかなり本腰を入れて駆除対策に乗り出していただいていますが、琵琶湖は広く、大きく、生態系のバランスがもとにもどるには至っていません。もとに戻る兆候はかろうじて見え隠れしている状況です。

これは、行政が設置、維持管理している「外来魚回収ボックス」です。
釣り上げたブラックバス、ブルーギルは、滋賀県では逃がすことはできません。
「必ず」持ち帰るか、回収ボックスに投入する必要があります。
「なるべく」ではなく「必ず」です。

一方で、外来魚の回収はおろか「放置」をされるケースがあり、当団体でも対応に手を焼いています。
放置された魚は、腐敗し、ハエなどの害虫が発生します。ハエの行動範囲は400m程度と言われていますので、湖岸に捨てられた魚は、かなりの近所迷惑となります。
釣り上げられた魚は、釣り人の所有物(しかも生ごみ)となりますので、それをポイ捨てすることはできません。

きれいになりました。
大人の尻拭いを子供がやっている状況です。
ちなみに、放置された魚をそのままにしておくと、野鳥や野良猫が魚をむさぼります。そして、野鳥や野良猫は、魚をすべて食べつくしません。むさぼった魚の死骸を広範囲に撒き散らすことになります。そうなると回収はかなり困難となり、更に広範囲に害虫が拡散することになります。

当団体でも微力ながら、外来魚の回収事業を行っています。

当団体が捕獲した外来魚は外来魚回収ボックスに入れるか、もしくは食するようにしています。
また、当団体では、ブラックバスの料理の研究を行っています。
その一環で、試食会を開催させていただくなど、外来魚の駆除と有効利用の啓蒙に務めています。
試食会の模様は、テレビでも放映していただきました。

刺身の試食会では、「まるで鯛」とのご意見なども頂きました。

ブラックバスやブルーギルは、臭みがあって、食するには問題があるのではとお思いの方も多いと思いますが、少し工夫するだけで、とても美味しく食べられる魚です。
決め手は三枚におろした後の「塩もみ」です。
「塩」は、古くから洗剤の代わりとしても使われてきた経緯があります。
まさか、魚を洗剤で洗うわけにはいきませんが、三枚におろした状態でかなり濃い塩水で塩もみ、もしくは数分、塩水に浸しておくだけで、臭みはほとんどなくなります。
塩味を残したい場合でも、「洗う」用に浸した塩を一旦すべて洗い流した上で味付けをすれば完璧です。
汚れた魚を、臭みを抑えようとして調味料で上から押さえつけるような料理をしても、効果はいまひとつです。
塩を使えば、簡単に臭みを取り除くことができます。
刺身もびっくりするほど美味しくいただくことができます。
この料理方法は、唐揚げ、塩焼き、ムニエル、すべてのブラックバス料理に必須のプロセスだと考えていますが、ブラックバスの料理に精通された方でも、このことに気がつかれる方は少ないですし、ネット上にもほとんどノウハウの掲載はありません。

ブラックバスの刺身です。
寄生虫が心配というご指摘があろうかと思いますが、そもそも刺身という料理自体が、ある程度リスクを伴う料理方法ですので、なにもブラックバスだけが寄生虫の心配があるというわけではありません。
最悪、あたったとしても命に別状があるわけではありませんし、「イカ」などはそもそも寄生虫の塊です。
少し味は落ちますが、ご心配な場合は、一旦冷凍して解凍すれば問題無いとも言われています。

滋賀県水産課が配布している冊子にもブラックバス、ブルーギルは生食に適しているとまで書かれています。
http://www.pref.shiga.jp/g/suisan/yugyonotecho/21sakana.pdfを参照ください。

私達は、もう既に琵琶湖の恵みを受けることが難しくなってきています。
せめて外来魚ででも、琵琶湖の恵みの大切さを多くの人々に知っていただきたいと思っています。
そしてこの惨状から、いかに生物多様性が重要かということを、近い将来、私達は痛感することになると考えられます。

(「琵琶湖はみんなの宝物」へ続く)